プロローグ

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「……敵は手傷を負っているんだな……?」 「……はい……。アルナはエルス様との戦いで……。ベベルは全体的にダメージを負っている模様です……。どうやら……早々にこの魔界から撤収する様です……」  それを聞いたレヴィアは、僅かに安堵の吐息を洩らした。  もしもアルナ達が勝利の余勢をかって魔界を蹂躙する様であれば、死を賭して彼女達の前に立ち塞がらなければならないとレヴィアは考えていたからだった。  もしもこの事実をエルナーシャが知ったならば、レヴィア達がどれ程止めても彼女は飛び出してしまうだろう。  今はメルルの掛けた「冥府の眠り」で、簡単には起きる事の無い眠りの中にいるエルナーシャであるが、もしも目覚めたならば有無を言わせず戦いの場へと向かうのは火を見るより明らかなのだ。  レヴィアの役目(・・・・・・・)は、エルナーシャがその様な無茶を起こさない様に先手を打って(・・・・・・)事態を鎮める事も含まれている。    それでも今回は、その様に勝ち目のない戦いへと身を投じる必要は無さそうだった。  死を恐れないレヴィアであったが、無益な死は彼女の望むところでは無い。 「……他には……何も……はっ!? あれはっ! シェキーナ様っ!?」  僅かに落ち着きを取り戻していたアエッタだったが、次の瞬間には彼女には似つかわしくない大声を出してそう叫んでいたのだった。  
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