合流す

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 地肌が露出し荒涼とした大地の上で、シェキーナは目を覚ました。  思考に霞が掛かっていたのは、ほんの一瞬。  即座に立ち上がったシェキーナは、慌てたように周囲へと視界を巡らせた。  彼女の眼に入るのは……。  所有者が居なくなり大地に突き刺さる……勇者の剣。  人型のまま地面に据え置かれている……勇者の防具一式。  エルスの剣に寄り添うようにして起立する……大賢者の杖。  エルスの防具を包み込むように(なび)く……大賢者のローブ。  他には、剣匠の持っていた2本の刀、極戦士の愛用していた大剣、そして暗殺者の持っていた2本の短剣……。  ―――それだけであった。  周囲は完全に焼き払われており、シェキーナの視力を以てしても草木一本確認出来ない。  それでも彼女は「彼の影」を求めて全方位に目を向け。 「エルス―――ッ!」  そして目的の人物が……エルスがもうこの世の何処にも(・・・・・・・・)居ない(・・・)事を悟り……虚空へと向けて絶叫したのだった。  
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