事実は小説よりも怪談なり。野々花 かすみ

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大学四年の秋 私は 唐突に 一年ほど前から交際していた年下の彼女から「ある方から 交際申し込まれたから 貴方とは終わりにします」と手紙をもらった  所謂 失恋した訳だが 当時 それも かなりのショックだったのだが 大学四年の秋って言えば そうです 就職活動も 終盤戦を向かえていて 周囲は どこそこかから 内定もらったとか 俺は行きたいところの最終面接にこぎ着けたよ とか 皆 明るい話題が 結構出ていたのだが 私は ひとつも内定もらっていなく (元々 不器用なところや生真面目過ぎるところが あかんっと友人にも言われていたが) さて 一社 二次面接を突破しては そこからの最終面接の通知を待っていたんだな そして 九月の半ばには 通知あると聞かされていたが 半ばを過ぎても音沙汰無し が 私には もうひとつ 問題を抱えていて 文学部史学科国史専攻だった私は 卒論の製作も行っていて まあ 修羅場でもあった訳だ そして もう十月が目の前 卒論もなんとか目鼻がついても 音沙汰無しの企業に もはや諦め半分で「九月半ばには 最終面接の通知があるとうかがっていたのですが」と、電話を入れた訳だ しかし なんと むこうは 「はい 九月十三日に一斉に送らせてもらいましたが」との返事 むこうは すぐに調べては 「○○さんですね 最終面接の連絡でしたが おいでにならなかったので 辞退となっていますが」と 言われて 呆然自失 と言うか 「うちには届いていませんでした なんとかなりませんか?。」と言うも 「申し訳ないですが 」と断られてしまいました ショックですよ 最終面接を受けられたはずが 何かの手違いで その通知が届かなかった訳で それで 不採用って あまりにも あまりにもな 展開でした 頭が混乱しながらも 「近世江戸商人についての一考察」なる卒論を書き上げて 提出したのが 十一月 まあ その一ヶ月後 再び 就職活動を再開しだしたのだが 私が目指していた業界は もはや ほぼ終わっていて それでもいくつか 面接を受けるも ことごとく 惨敗しては  このまま 就職浪人かよ?なんて思っていた頃でした
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