事実は小説よりも怪談なり。野々花 かすみ

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その後 かすみは まるで 夢に出て来なくなり。 あれは やはり夢だったのだろうと思いながら 十年近く 時は過ぎて その頃 私は 大学卒業時には 入社できなかった 某予備校で職員として 働いていました。 そして 二十代も後半 もうじき 三十になると言う頃 生活も安定して 友人も 結婚とかし始めた頃 私は また 年下の彼女ができて 順風満帆に行くと思っていた矢先でした。 再び  別れが訪れました 準看護婦(当時はこの呼び名)だったTさん 看護婦資格のために勉強したいから それまで会わないで 頑張りたいと言われて 了解しては 彼女の受験まで その約束を待っては 仕事に精をだしていたのだが まさか 前に働いていた病院から新しい病院に移って後 いきなり 手紙が またもや「私 今優しくしてくれる人ができたから○さんとはもう会うこともない」とまさに 一方的な 失恋 再び 来ちゃいました。 「だって お前 勉強したいからって言ってて なんだよ 新しい男 優しくしてくれる男ってなんなんだよ!」と そのときは あまりにもな展開に 呆れて 自暴自棄に陥っては 対して飲めもしない癖に お酒を夜な夜な 飲んでみたり したけど 傷なんて ふさがるはずもなく が ある日 仕事早番で 夕方の帰り道で あの香りが 漂って来てさ 道路 目の前に 「野々花 かすみ」がいたんですよ 「○お前さ なにやってるんだよ 酒ばかり飲んだってなにも解決しないぞぉ」と またもや 小鳥が囀ずるような声で 言われては すぐ近くの喫茶店へと 連れていかれました しかし こちらは 三十に手が届くくらいに 年はとったのだが  なぜか かすみは あの当時と変わらず 二十歳そこそこにしか見えず 「かすみ変わらないなあ」 「そう言う ○は また太ったんじゃない? 気をつけなって言ったじゃないのぉ」 「ええと かすみは あのあと 公務員郵便局だっけ まだ続けてるの?」 「まあ あそこは 辞めて 今は営業の仕事。でも ○ 良かったねえ あのとき やりたかった仕事で働けてるんだからさ あたしが言った通りじゃない」 「ああ って言うか 。。。。いや 何でもない」 そのとき 私は かすみに「お前はいったい誰なんだ?」と聞こうとしたのだが 辞めておいた
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