事実は小説よりも怪談なり。野々花 かすみ

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「でさ また失恋ですか? キミは優しすぎるんじゃないのかなあ?」 「ってなんでわかる?」 「○ キミとあたしは 一応愛し合った中じゃないか あはは 女に言わせるな! キミのことは 世界中で一番知ってるつもりだぞ」 「っておいおい あれは夢だろうが って言うか お前。。。。」 「ストーップそこから先は 言わぬが花だよぉ それより またアドバイス 相手の身になって 相手を思うのはキミの素晴らしい点だが もっと自分を出してもいいはずだよ 一方的に都合のいいやつになってるよ ○ 今のキミは」と言われては 気がつくと 私は いつもの居酒屋で ウーロンハイを飲んでいました。 「ええ! なんでぇ かすみはどこ行った?」なんて思うも すぐに笑い出しては あのときと同じだ あの子の夢を見たんだな と思うも 手の中には ポケットベルの番号と「飲みすぎるなよ 体壊して そこ辞めることになるぞ かすみ」と書かれたメモが残っていました。 「馬鹿な かすみは実在するってのか?」 翌日 仕事休みだったので ポケットベルに連絡をいれてみようとするものの さっぱり わからず 適当に 番号を打ってみたが なんの連絡もなかった しかし いったい 野々花 かすみって 実在するのか? 私と同じ記憶を共有する 二十歳そこそこにしか見えない女 相変わらず 妖精のような美しさを残して 消えてしまった 野々花 かすみ その後  気になった 私は 中学の卒業アルバム そして 高校の卒業アルバムをひっくり返して 確認作業をしてみた ここまで来ると  自分がおかしくなってるとしか思えないのだが アルバムには 確かに あの子 かすみに似た女子Cさんの写真が残っていて 似た写真だが 私が知る野々花 かすみではなく Cと言う実在する女性の足跡を見つけることができても そこから先へは 絶対に進まない作業で  苦しくなるだけでした その頃 お酒が 頭に影響していたのか? わからぬが 幻のように 夕暮れ時 一度だけ現れた「野々花 かすみ」は 再び 現れることなく  また 十年近い日々が過ぎました。
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