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追放そして開幕
「キミをここに呼んだのは他でもない、今日限りクビだ」
ある日、酒場に呼ばれたボクは『漆黒の翼』という名前がダサい実力派パーティのリーダーであるトレスさんの宣言に、あんぐりと口を開けた。
「は? あの唐突になん……ですか? クビって……」
あまりの驚きと、トレスさんの迫力に言葉が詰まってしまう。
ボクに考えるための間も与えないかのようにトレスさんはテーブルを思いっきり叩いて、ボクの方へと身を乗り出した。
「とぼけているつもりかい?」
睨みつけられ兎のように体が固まってしまった。
どうやら彼はボクに反論させまいと黙らせようとしているらしい。
「今まで俺らのお荷物になっていたことも? 俺らがどれだげお前のために世話を焼いていたかも? 役立たずのタダ飯喰いだってこともか?」
自覚があまりないトレスさんの言葉がボクの胸に次々と突き刺さる。
睨みつけられる視線も痛い。
彼だけではなかった。
酒場のテーブルを囲む仲間、この場にいない1人は除いて全員非難の眼をボクに向けていた。
『漆黒の翼』のパーティは全員でボク含めて6人。
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