追放そして開幕

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 もう1人の勇者としての候補を待つ最強の剣闘士であるパーティリーダーの『トレスさん』。   彼の腰の鞘に収められた聖剣はこの世で最も貴重とされている鉱石により作り上げられた代物だ。  島をも錬成し、あらゆる物質を生み出せる錬金術師の『カレンちゃん』(トレスさんにゾッコン)。  この世界の果てにいる幻獣ドラゴン、フェニックスをも従える幻獣テイマーの『サクマさん』(カレンちゃんにゾッコン)。  あらゆる属性魔法、精霊魔法を駆使する魔道士の『アリシアさん』(サクマさんにゾッコン)。  いつか壮大な修羅場が繰り広げられそうなパーティにちょこんと、影薄く兎のように投下されている超絶幸運値の高いボク『ネロ・ダンタ』。  いざ脅威にしたくないパーティメンバーに鋭い眼光を向けられると、目を白くさせて震えながら縮こまっているしかなかった。 「サイクロプス戦で逃げ回りながら、たったのかすり傷程度の怪我で泣き叫んでいるヤツが、どうしてそんな仲間ヅラが出来るのかしらね?」  爪をいじりながら、まるで眼中がないような仕草でカレンちゃんがボクに非難の言葉を突きつけた。  ギルドの特級である依頼『サイクロプス討伐』は早朝に受けたボクらが準備万端で挑んだ難易度高のクエストである。     
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