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パーティの皆は無傷で順調に迷宮を進んでいて、数時間でサイクロプスを発見したが戦闘は苦戦を強いられた。
『ラック』ステータスの幸運の数値がMAXなだけのボクは足手まといなので後方のフォロー。
主にアリシアさんやサクマさんに回復薬の受け渡し、背後から攻めてくる雑魚の処理を(倒しきれない分、嫌々アリシアさんが殲滅)担当している。
確かにお荷物のような存在だが、彼らの荷物を運んでいるのはボクだ。
トレスさんやサクマさんという男性陣に怒られたくないので目立った失敗を避けていたはず。
なのに何故だ?
「考えたんだよ、戦闘に役立てないザコは必要ないってな」
呆れた様子でチビドラゴンに餌を与えているサクマさんがボクを見ながら言った。
そして気付かされたのだ、ボクは全然戦うことに関して無能だと。
打ちひしがれるようにボクは座っていた椅子から倒れ、床に尻もちついてしまう。
手を差し伸べようとしてくれる仲間などいない、ただ皆は虫けらを見るような眼光でボクをひたすら非難していた。
「そ、それでもさ……ボクだって精一杯、みなさんに迷惑が掛からないようにわきまえて……」
「精一杯だって? そんなもの、報われたことなんてないじゃないか!」
苛つくようにトレスさんは地面を踏んだ。
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