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不幸な少女との出会い
王都に辿り着いたボクは馬車から降りて、さっそく冒険者ギルドへと向かった。
運転手に支払った移動費が最後のボクの財産である。
あらま財布が痩せていて軽いわ、なんてお得!
「うんうん、これでよしっと」
掲示板にパーティ募集のチラシ(手書き)を貼り付けた。
あとは街を回って呼びかけたり、知人の冒険者や傭兵を誘えばある程度なら集まるだろう。
パーティのメンバー数に上限などいない。
金融関係で100人パーティを組む連中はまずいないだろうが、ボクは元々S級パーティに誘われた身だ。
成せばなるさ!
「ほへぇ、S級パーティ『漆黒の翼』の元メンバーがパーティの勧誘募集しているのかよ」
さっそく武装している、いかにも『戦士』でやんすっ! という雰囲気の男性がチラシに食いついてくれた。
「……けんども、なんでそんな大物が? ちっと胡散臭いなぁ。最近、あのパーティからのメンバーの脱退なんて報告は聞いてねぇぞ?」
「あぁ、そこのお方気になりますかい?」
受付の男性が戦士に話しかけると、男性はギルドの広間で1人寂しそうに座るボクの方に指を差した。
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