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そのまま日和は二階の自室へ向かう。その途中、
「お兄ちゃん……」
「ああ、日和。どこに行ってたんだ?」
その言葉だけ聞くと、とても優しそうな兄に見えただろう。
けれど次の瞬間、
「ずいぶん探したんだ…よっ!」
その言葉と同時に日和の腹を思い切り殴る。
「けほっ…」
思わず、むせかえる妹を、兄は冷たい眼で見下ろす。
「お前はただ俺のストレス解消道具になってればいいんだよ…!お前が出来損ないなせいでこっちは親の過度な期待に応えるのに必死なんだ。これくらい、妹として当然だろ?」
そう告げるとさっさと自室へ戻っていく。
その背中を日和はただ見つめていた。
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