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『それでも、なんとなくイヤ。だって鴇田くんは小山さんの保護者でもないし恋人でもないでしょう。かわりに謝られても許す気持ちにもならないし、なんの解決にもならないし、ちっとも嬉しくないし、ちょっと嫉妬しちゃう……かもしれない』
お? 文字がぎっしり詰まっていて目が滑るけど、最後の「嫉妬しちゃう」は見逃してはいけないキーフレーズに思える。
碧さん、おれと莉奈の関係に焼きもちやいている?
それって期待していいってことかな。
※
放課後、ガチャを回した。
スマホの中のハートが目まぐるしく点滅したあとピロリーンと盛大な効果音が鳴る。
『三分間話をする』
ちょっ……ウソだろ。
「鴇田くんベンチに座って。そこから三分計るから」
碧さんは早速ベンチに腰を下ろす。
「三分間なんて短すぎる」
「いいから座って」
「でも」
「三分間スタートッ」
しびれを切らした碧さんがスマホを操作する。こうなっては仕方ない。おれは碧さんの隣に座って口を開いた。
「莉奈のこと、怒ってる?」
「ううん。彼女は宇宙人みたいな人だから、人間の尺度に当てはめても無駄だと思っているの。むしろ怒っているのは」
一分経過。
「わかってる、おれ自身に対してだよな?」
時間がないので先回りする。
本当ならちゃんと話を聞きたいけど碧さんは三分きっちりで話を切り上げてしまいそうだから。
「そうね。鴇田くんは……」
長い溜めが入る。「巻きでお願いします」と突っ込みたいけどぐっと我慢だ。
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