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「鴇田くんは本当にどうかしている。どうして告白なんかしたの? よりによってわたしに」
ここまでで二分経過。
「そんなの……好きだから」
「いまだから言うけどウソ告だと思っていたの。小山さんあたりにけしかけられたんだろうって」
バレてた……。
「ちがう! おれは本気で」
好きになりそうなのに。
ピピピ、と無情にもスマホのアラームが鳴った。三分経過。時間切れだ。
「時間だね」
アラームを切った碧さんがゆっくりと立ち上がる。そのまま背を向けて立ち去ると思った。
しかしぴたりと足が止まる。
「これは独り言だから三分間にカウントしないけれど――ありがとう。わたしも鴇田くんのこと好きになるかもしれない」
振り返った瞬間の恥ずかしそうで悔しそうな顔。心臓を射抜かれたような気がした。
家に帰ったおれは即アクションを修正した。
『三十分会話したあと、お互いの写真を撮って一日だけ待ち受けにする』に。
しかし悲しいことに、次の日からは『四千文字以上メールする』『一時間以上電話する』が連続で出現し、話は出来ても一緒にいる時間は数えるほどしかなかった。
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