ガチャしたりメールしたり驚かせあったり

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 三階の突き当たりの美術室には電気がついていて、運のいいことに扉も開いていた。  中にいるのが碧さんひとりとは限らない。図々しく入って顰蹙を買うのはイヤなので開いた扉からそっと中を確認した。  胸像が一体置いてあり、像の後ろ側にスケッチ用の画板が広げてあるものの椅子にはだれもおらず、室内に人の気配はない。 「――……鴇田くんッ」 「うわっああああっ」  完全に油断していたおれは背中を叩かれて絶叫してしまった。情けなく床に転がったところで笑い声が降ってくる。 「まさか、そんなに驚くとは思わなかった」  だれかと思えば碧さんだ。驚いたおれがあまりにも間抜けだったからか、眼鏡を押し上げて目元を拭っている。 「ひでぇ」 「ごめんなさい。窓から鴇田くんの姿が見えたし、ガチャの結果も見たから」  と言って自分のスマホを見せてくれる。  そうだった、回したガチャの結果はお互いに見られるようになっているのだ。 「わかったよ。驚かされたんだから仕方ない。願いを聞く」 「いいの? なにをお願いするかわからないんだよ?」  後ろ手を組み、なにかを企んでいる様子の碧さん。  しかし男に二言はない。 「お互いそのつもりだったんだからいいよ」 「うん――……」     
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