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碧さんは考え込むように目を細めている。長い睫毛が細かく上下するだけでドキドキしてきた。
「じつは考えていなかったの。だから、鴇田くんはなにをお願いするつもりだったのか教えて欲しい」
「それがお願いごと?」
「うん。今回はね」
ガチャのルールに従っている限り言うことを聞くしかないのに、碧さんは無欲だ。
一方、いきなり願いごとを聞かれたおれは先ほどまで胸にうずいていた想いを自覚して恥ずかしくなってくる。
「どうしたの、顔が赤いよ? まさかえっちなこと?」
笑いながら問いかけてくる。
「ちがうよ。おれは……その、ふたりでいるときは下の名前で呼び合いたいって思ったんだ」
言いながらどんどん恥ずかしくなってくる。碧さんがあまりにも笑顔だから尚のこと。
「わかった。じゃあ、このアクションの内容を変えるね。驚かせあうのは怖いもんね」
そう告げてクリアしたアクションの内容を変更して見せてくれる。
『次のガチャまで互いの名前を呼び捨てにする。ただし土日に当たったときは「あおちゃん」と「はるくん」の仇名で呼ぶ』
「これでどうかな?」
同意を求めつつもすでに決定ボタンに指をかけている。
まったく。これでは「わかった」と言う以外にないじゃないか。
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