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ガチャのないデートがしたい
学校が休みになる土曜日のアクションは当日の朝にガチャを引くことにしていた。
最初の土曜日に引いたガチャは碧さんが入力した『図書館で読書』と出て、本に囲まれた図書館でろくに会話もできなかった。図書館を出たあと軽くお茶をして別れたけど、かなり味気ないデートになってしまった。
その次は『ファミレスで食事する』『公園を散歩する』と無難なデートに終始し、今日は四回目のデートだ。
待ち合わせの噴水前に座っていた碧さんはおれの姿を見つけて嬉しそうに立ち上がる。
「おはよう、鴇田くん」
「おはよう。あれ、眼鏡は?」
いつもの黒縁の眼鏡がない。それだけで随分と顔の印象が変わる。
「お小遣い貯めてね、今日はコンタクトにしたの」
肌色が白いから春らしい薄水色のワンピースや淡色のカーディガンがよく似合う。
おれと逢うためにオシャレしてくれたんだと思うと泣きそうだ。
「じゃあ、早速だけどガチャ回して」
笑顔で差し出されるスマホ。おれはなるべく優しくそのスマホを押しのけた。
「その前に少しだけ歩かないか?」
「ガチャは?」
あまりに無邪気に問いかけてくるから罪悪感さえ覚える。
「うん。あとで回すから」
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