ウソ告だった。なにも始まらないはずだった

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 人間とは驚くべきもので、あまりに埒外のことを言われると正常な判断ができなくなってしまうものなのだ。現におれも「いやだ」とか「面倒だ」とか言うのも忘れて一日多いことを冷静に指摘しているのだから。 「あ、気づいた?」  青白く強張っていた碧さんの口端に笑みが浮かぶ。 「このアプリね、ふたりで共有できるの。だからきょうやるべきことはガチャじゃなくて、それぞれ十五個ずつ内容と排出率を決めること。明日の放課後までに入力して、明日最初のガチャを引こうね」  呆気にとられつつ頷いてしまった。  今更だけど、碧さんの声って意外と悪くない。
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