ウソ告だった。なにも始まらないはずだった

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 ※ 「…………めんどくさ」  帰宅したおれは自室で頭を抱えていた。  付き合う前にお試し期間が欲しいというのはわかる。おれだって付き合うのは初めてで右も左もわからない。  なにをしていいかわからないというのもわかる。でもそれをガチャアプリで決めるってどうなんだ。そういう時にどんなアクションをとるかで「お試し」ができるんじゃないのか?  恋って面倒くさいんだな。 「ウソ告なんだし、適当に付き合って別れればいいんだよな」  ベッドに横になり、先ほどインストールしたばかりのアプリを立ち上げた。『恋人アプリ』というもので、ピンクを基調とした画面に黄緑や水色といった蛍光色のボタンが配されている。見ているだけで気持ち悪くなりそうだ。  元々おれは設定をあれこれいじってみるタイプではないので、気色悪いボタンは全部スルーして碧さんに指示された画面だけを開いてみる。十五個の入力項目が現れた。  碧さんと決めた条件がいくつかある。  一、十五個の恋人アクションと排出率を設定する  二、お互いが設定したものは見られない  三、排出率は合計が百になるように設定する  四、毎日の放課後にガチャを回してその後のアクションを決定する     
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