ウソ告だった。なにも始まらないはずだった

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 問題はこのアクションだ。  あまり難易度の高いものを選んでしまうと大変なことになる。  碧さんとの約束では、実行できなかったアクションは翌日に持ち越し。三日連続で実行できなかった場合はお試し期間は終了とし、アプリをアンインストールして以前と同様の関係に戻ることになっている。つまりゲームオーバーだ。 「べつにアクションは重複してもいいんだよな」  相手に見られることはないのだから、比較的簡単なアクションを十五個設定して排出率を調整したっていいのだ。碧さんだってそうしているかもしれない。 「よし」  おれはスマホを持ち直してアクションを入力しはじめた。  まずは基本、『話をする』――だけだとなんにも考えてないように思われるから『三分間話をする』にしよう。これは排出率を高めの十パーセントくらいにしておこう。  それから『昼を一緒に食べる』『勉強を教えあう』『一緒に帰る』――おぉいいぞ、どんどんアイデアが湧いてきた。  『ゲーセンに行く』『カラオケにいく』『ファミレスで食事する』『公園を散歩する』――なんだかカップルっぽくなってきたな。  テンションが上がってきたところでふと考える。     
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