ウソ告だった。なにも始まらないはずだった

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 カップルなら……『手をつなぐ』もいいよな。うん、全然おかしくない。でも排出率は低めにしておこう。  それから――……。  勢いに乗って『キス』まで書いて慌てて消した。いまはお試し期間だから、いくらなんでもそこまでは無理だ。せめて『好きだと言う』程度にしておこう。おれは実行済みだから何度でも言えるし、ガチャ結果なら碧さんも仕方なく告ってくれるだろう。  残り五つ。思い悩んでいるとピロリンとスマホが鳴った。アプリの右上にある手紙のマークが点滅しているのでクリックして開いてみる。 『こんばんは。原川 碧です』  え、碧さん?  いま気づいたけどインストールしたアプリにはメール機能もついている。 『入力いかがですか? わたしはやっと終わりました』  別れてから一時間しか経っていないのにもう入力終わったのか。早い。 『おれはあと少しで終わるよ』  慌てて返信するとすぐにピロリンと鳴った。 『良かった、明日楽しみにしているね。それから今日ちゃんと言えなかったけど、告白してもらって嬉しかった。ありがとう』  どきん、と心臓が鳴った。  こんな条件を出してくるのは本心では迷惑だったからじゃないかと思っていたんだ。 『じゃあ、おやすみなさい』  え、もう終わり? もっと話したいのに。もしかしてアクションに含まれていないから?     
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