メインストーリー

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 ムーンチャイルドには、くノ一装束の女・赤烏も同行していた。  アポロは彼女に案内され、月曜の神・シザーマンの屋敷に向かう。  父が突然死したのも、休日出勤明けの月曜。  複雑な思いを胸に進む中、空気の成分が微妙に異なるこの世界の影響で、アポロは特殊な能力を使える身体になったと聞く。  具体的には、1日3回までの瞬間移動。  フィジカル強化の能力でないことに不安を覚えるが、対シザーマンには有効な能力であるらしい。  屋敷に近づくと、早速アポロは瞬間移動を試みた。  移動した先は、屋敷の大広間。  目の前には剣士姿の女・カグヤと大柄な男・シザーマンがいた。  シザーマンを悪とみなしていたアポロだが、会ってみると温厚そうな印象。  が、赤烏の好戦的な言動に不穏な空気を察し、相手は神の姿へと変化した。   ムーンチャイルドはかに座も意味する。  そのため、シザーマンの全身は頑強な装甲に守られていた。  右手の巨大なハサミを目にして、息を呑むアポロ。  赤烏はカグヤの動きを封じ込めつつ、作戦通りに動けと指示を出す。  守りの硬いシザーマンだが、唯一の弱点が首の後ろの継ぎ目。  瞬間移動でそこを突けば勝ち目があると、アポロは事前に告げられていた。  日曜をなくすわけにはいかない。  その一心で、アポロは急所に剣を突き刺す。  カグヤが愕然とする中、ただならぬ雰囲気の少女が突然姿を現した。  少女の名は、フレア・サンズ・マシュー。  保護猫は日曜の神である彼女が化けていたもので、曜日の神であるという話も出鱈目だった。  何らかの目的でフレアにはシザーマンを殺す目的があり、この世界の空気と相性がよさそうなアポロに目をつけたのだ。  利用されていたことを知り、立ちすくむアポロだが、シザーマンが最後の力を振り絞る。 「後悔しているなら、お前が月曜になって安息を守れ」  その言葉とともに、神としての力が流れ込む。  新たな月曜の神になったアポロ。  作戦の失敗を悟った赤烏が、間髪入れず襲い掛かってくる。  
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