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「うんうん。もうすぐ十月三十一日じゃん。うちのお母さんの務めてる児童館でさ、ハロウィンのイベントするんだって。で、前のお月見会のときとおんなじように、小学生がいっぱいあつまるんだけど。今回は参加資格があって『仮装してくること』なわけ。
でもさ~、『仮装してきてください!』って言われたって、かんたんに仮装できない子もいるでしょ。だから、そういう子のために、衣装を貸し出ししてあげたらいいな~って、思ってさ~」
「あのね、誠。ハロウィンまであと二週間もないんだよ? 衣装なんて、そんなやすやすつくれると思ってる? それに何人分つくれって言うの?」
有香ちゃん、手を腰に置いて、じろり。
だけど誠は、にぱっと笑った。
「かんたんなのでいいんだよ。服じゃなくっても。ヘアアクセサリーだけでも。あとは、そ~だな~、化け猫の耳とか~。オバケっぽい白い布のかぶり物とか~。人数分はムリだから、とりあえず二枚でも三枚でも……」
「へ~、なんか楽しそう! あたしも仮装大会に、参加したくなっちゃったっ!! 」
ミシンの前から立ちあがったら、誠の目もキラキラとかがやいた。
「ホントっ!? じゃあ、また和泉も手伝いに来てよ~」
「行く、行く~っ!! 」
「あのさ、綾ちゃん。毎度のこと言うのも、なんだけど。カレシの存在わすれてない?」
有香ちゃんの声に、はたと我に返った。
「あ~。妬かれますか?」
って、誠。
「妬かれますね」
有香ちゃん、腕を組んでこくこく。
「……えっと。じゃああたし、ヨウちゃんも誘う~っ!! でね、ヨウちゃんにも仮装してもらうの! ドラキュラのヨウちゃんとか、見てみたいっ!! 」
「いやいや、あの人、着ないでしょ」
「着てくれる方法あるよ。和泉がつくって、葉児に押しつけるのっ!」
誠が親指を立てて、ニカって笑った。
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