9/9
50人が本棚に入れています
本棚に追加
/158ページ
「うんうん。もうすぐ十月三十一日じゃん。うちのお母さんの務めてる児童館でさ、ハロウィンのイベントするんだって。で、前のお月見会のときとおんなじように、小学生がいっぱいあつまるんだけど。今回は参加資格があって『仮装してくること』なわけ。 でもさ~、『仮装してきてください!』って言われたって、かんたんに仮装できない子もいるでしょ。だから、そういう子のために、衣装を貸し出ししてあげたらいいな~って、思ってさ~」 「あのね、誠。ハロウィンまであと二週間もないんだよ? 衣装なんて、そんなやすやすつくれると思ってる? それに何人分つくれって言うの?」  有香ちゃん、手を腰に置いて、じろり。  だけど誠は、にぱっと笑った。 「かんたんなのでいいんだよ。服じゃなくっても。ヘアアクセサリーだけでも。あとは、そ~だな~、化け猫の耳とか~。オバケっぽい白い布のかぶり物とか~。人数分はムリだから、とりあえず二枚でも三枚でも……」 「へ~、なんか楽しそう! あたしも仮装大会に、参加したくなっちゃったっ!! 」  ミシンの前から立ちあがったら、誠の目もキラキラとかがやいた。 「ホントっ!?  じゃあ、また和泉も手伝いに来てよ~」 「行く、行く~っ!! 」 「あのさ、綾ちゃん。毎度のこと言うのも、なんだけど。カレシの存在わすれてない?」  有香ちゃんの声に、はたと我に返った。 「あ~。妬かれますか?」  って、誠。 「妬かれますね」  有香ちゃん、腕を組んでこくこく。 「……えっと。じゃああたし、ヨウちゃんも誘う~っ!!  でね、ヨウちゃんにも仮装してもらうの! ドラキュラのヨウちゃんとか、見てみたいっ!! 」 「いやいや、あの人、着ないでしょ」 「着てくれる方法あるよ。和泉がつくって、葉児に押しつけるのっ!」  誠が親指を立てて、ニカって笑った。
/158ページ

最初のコメントを投稿しよう!