彼女はネクロフィリア

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夕焼けに染まる放課後の空き教室に話がしたいからと呼び出したのは同じクラスメイトの菊嶋笑佳(きくしまえみか) エミリーという愛称で親しまれているツインテールの似合う女の子。男子は揃ってかわいいという。僕もそのひとり。高鳴る胸を押さえながら僕は彼女を待つ、少しして菊嶋さんが教室にやってきた。 「あ、あの、来てくれてありがとう」 緊張で喉がからからになってカサついた声が出た。菊嶋さんが僕を見る、滅多に誰もこない教室なので舞っているのは埃だと知っているのに、夕陽を浴びてキラキラ反射するなかに居る菊嶋さんがとても綺麗にみえた。話を長引かせてしまうと切り出せなくなってしまう自分の性格を分かっているので僕は潔く頭を下げて右手を前に出す。 「俺と!付き合ってください!!」 17歳にして初めての告白。顔が熱くて心臓が飛び出そうなほど早鐘を打っている。文章で伝えたところで他の人と一緒にされて流されてしまうかもしれない、だから正面突破で伝えた。けれどいつまで経っても返事が返ってこずに僕は恐る恐る顔を上げた。そこには僕なんか見ていないで窓の外を眺める筧さんの姿があった。 「あ、あのぉ」 聞こえなかったなんてことは無いはず。大声で叫んだ。廊下に人がいれば、誰かが告白してるよと笑い話されるくらいには大声だった。菊嶋さんが僕を見る。どんな返答が来るのかと僕は身を固くした。 「わたしのために死ぬ覚悟ある?」 え、死…?よく分からないが僕はその言葉に首を縦に振るった。 「もちろん、君のためなら死ねる!!」 そう叫んだ後の彼女のかわいさと言ったらたまらなかった。彼女の言葉の意味はよく分からなかったけれど、僕にはそれで十分だった。
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