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「おいおい、マジかよ……」
驚きながら心を躍らせる飯田さんは僕の肩を軽く殴った。
「それはな、デートって呼ぶんだぞ、少年」
ニヤニヤした表情がこうも似合う人物を他に知らない。
時々ニュースで報道される近所の不審者情報は全てこの人の活動報告なのではなかろうか。
からかわれているのは明確に分かったので、この話題を持ち出したことを後悔した。
バイト中は飯田さんが話したいことを延々と垂れ流している。
それがほとんど毎日ともなると、週末の終業間際には話題も尽きる。
そういう時には「何か面白いことないか?」と振られることもしばしばあり、普段はそれに応えることは充分にできていないが、今日は明日の予定が頭の中に残っていた。
僕にとっては滅多にないこと。飯田さんにとっては面白いこと。
しかし、まさかこんなに食いつくとは。
「一体どういう経緯でそうなったんだよ?」
と前のめりで尋ねる飯田さんのために、僕は夏目さんの部屋での食事から適当に話した。
そのことにさえ飯田さんは驚愕した様子だった。
確かに誰かとの会食もそうあることではない。
僕だって正直落ち着かない。
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