父娘(おやこ)

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こんな夜中に暗く長い道を、こんな小さな女の子を歩かせるのを不憫に思ったので 「じゃあ次の町に出るまで」と二人を車に乗せる事にしました。 トランクを開けてキャリーケースを積み、父親が助手席に座ると、娘さんはその膝の上に乗りました。 ちょこんと座るのかなと思ったら、胸にギュッと抱き着いて、父親の顔をジーッと見詰めているんです。 私は横目でチラチラと、可愛い子だな~こんな子が産まれてくれると良いな~と微笑ましく思いながら運転していました。 すると父親が突然こう言ってきたんです。 「何かここら辺の事件の事、言っていましたか?」 え?何が?と思ったんですけど、すぐにカーラジオのニュースの事だと気付きました。 「あ、つけとくだけで聞き流していたので。何か気になるニュースありました?」 「いえ、特に。何か気にしている様だったので」 父親は目を逸らすように前を向きました。 「あ、もしかして車で事故にあったんですか?それでこんな何も無い道を歩いていたんですか?」 「いえ、最初から車には乗っていませんでした」 まっすぐ前を向いたままこちらを向こうともしません。 ……何か違和感あるなーと思ったんです。     
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