哀愁のわかめ御飯

4/4
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
 突然、目が醒めた。 これは夢だったのだ。 僕はわかめ御飯から解放された。もうその時には、僕に憑いていたわかめ御飯は何処かへと去っていて、僕は実にすがすがしい朝を迎えることが出来たのだ。 (もうわかめ御飯はこりごりだな)  僕はひとり苦笑いをし、頬をぽりぽりと掻いた。  その後のことだ。 丁度いい頃合いの時間だったので、僕は着替えて下へ降りた。勿論朝食を取るためである。  その頃には、今朝見たわかめ御飯の悪夢など、朝のすがすがしさに負けてすっかりと忘れていた。 「あら、今日は早いのね」  御飯をよそいながら、母が云った。  母がよそっていたのは、他でもない、わかめ御飯だった。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!