17人が本棚に入れています
本棚に追加
「では、説明させていただきます」
女はそう言って、どこからか分厚い本を取り出し、何事か唱え、
でかいスクリーンを呼び寄せた。
本やスクリーンが勝手に湧いて出るわけはないだろ?
だけど私は驚かなかった。
ふうん、この世界ではそういうことが出来るのか。そう受け止めた。
スクリーンの題名には、“適職診断”と書かれてあり、いろいろなグラフや
表が提示された。
体育の体力測定の結果みたいなものは理解出来るが、
精神力? 何を基準にだ? 読解力…国語か? キャパシティー…容量?
よくわからないがそれらの値は高かった。
その結果出た適職とやらが、“魔術師”で締めくくられていた。
隣に星マークまでついている。
魔術、か。占いとか何かか?
「あなたには才能があるようです。
魔術の権威となって、世界の秘密を解き明かすことが出来る可能性があります。
また身体能力の値はそれほど高くはありませんので、お気をつけください。
異存はありませんか?」
才能? 世界の秘密? 七不思議みたいな?
興味はないな。否定もしないが。
「構わない」
「ではこちらへ」
女は本とスクリーンを消し、扉を呼び出した。
最初のコメントを投稿しよう!