第一章 始まりの闇

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「では、説明させていただきます」  女はそう言って、どこからか分厚い本を取り出し、何事か唱え、 でかいスクリーンを呼び寄せた。  本やスクリーンが勝手に湧いて出るわけはないだろ? だけど私は驚かなかった。 ふうん、この世界ではそういうことが出来るのか。そう受け止めた。  スクリーンの題名には、“適職診断”と書かれてあり、いろいろなグラフや 表が提示された。  体育の体力測定の結果みたいなものは理解出来るが、 精神力? 何を基準にだ? 読解力…国語か? キャパシティー…容量?   よくわからないがそれらの値は高かった。  その結果出た適職とやらが、“魔術師”で締めくくられていた。 隣に星マークまでついている。  魔術、か。占いとか何かか? 「あなたには才能があるようです。  魔術の権威となって、世界の秘密を解き明かすことが出来る可能性があります。  また身体能力の値はそれほど高くはありませんので、お気をつけください。  異存はありませんか?」  才能? 世界の秘密? 七不思議みたいな?   興味はないな。否定もしないが。 「構わない」 「ではこちらへ」  女は本とスクリーンを消し、扉を呼び出した。  
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