第二章 最初の選択

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第二章 最初の選択

 扉を開けると、そこは草原だった。広大だ。  私が出るとすぐ、扉は閉まり、目の前で消えた。  さて、とりあえず人のいるところへ行かないと、飢え死にする。  もう一回死んでいるのだが。自覚はないけれど。  ここでまた死んだらどうなるのだろうか。あの女に聞けばよかった。  ふと気づいて、自分の体を確認した。性別は女であっているようだが、 顔がわからない。  左手の甲にタトゥーが入っている。スクリーンで見たな。魔術師の証か何かだろう。  服は、濃紺のワンピース。飾りも何もついていない。魔女みたいだな。  髪型は前下がりのボブヘア。黒髪だ。  足元はショートブーツ。皮製みたいだ。ヒールはなくて、歩きにくくはない。  ほとんど何も入っていない斜めがけのかばん。 中身は、赤いファンデーションのケースのようなもの。白い固形物が入っている。 指ですくってみたが、匂いはしない。口に運ぶのはやめておいた。  これは何だろうか。宝石のエメラルドのように見えるが、透き通っていて、 飴のようにも見える。べとつきはしないが。  ん?ローマ字で何か書いてある。“シラム”。 文字は前の世界と変わらないみたいだが、意味がわからない。  むやみに捨てないほうがいいだろうな。かばんにしまった。  山と森が確認出来るが、どうしようか。サバイバルクイズのようだな。  山と森、人が住んでいる可能性が高いのはどちらでしょう?  森、にしておくか。もし人がいなかったとしても、食べ物が見つかる可能性は、 こちらのほうが高いのではないかな。  とりあえず向かった。 
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