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悲劇が起こったのは、ちょうどその時だ。
「…では、おのれがさっき云った言葉に偽りはないな?」
「…はあん?…んだよ、この俺様が嘘吐くってぇのかぁ?てめえ、大概にしとかねえと…」
「では、情けは要らぬな。遠慮なくいくぞ」
「はぁ?はっ、うわあああああああああああああああっ!!」
あっという間の出来事だった。ピンク色のスポンジの背中が急に割れたかと思うと、そこから青白い触手が一瞬のうちに伸びたのだ。触手は、細くて、細かい繊毛が密生していた。ちょうど、人間の小腸の柔毛のようだ。
その触手が、男の体の至る所に張り付いたかと思うとピンク色のスポンジはぶるっと一つ身震いをした。
その時、男の皮膚が音を立てて破れ…男はその場に倒れ込んでしまった、赤くなった、肉に一番近い皮膚だけは何とか破れなかったようだが…男はあまりのショックのため、気を失ってしまった。無理もないことだろう。
ピンク色のスポンジは、薄い笑いを浮かべながら、またあの気味の悪い足音を立てて、漆黒の闇の中へ消えた。
その後、私はピンク色のスポンジの行方を知らない。一体、奴は何がしたかったのだろう。どうしてあの時、男の前に現れ、男の皮を剥いでいったのだろう。
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