丸い物体

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丸い物体

 それは、とても寒いある日のことだった。  僕はその日、朝早くに目が醒めてしまった。体を震わせて、摺足で、僕が眠りをとっていた部屋からいつも暖かい部屋へと移動している最中に、僕はあの物体を見つけてしまったのだ。  ―――オレンジ色の、丸い物体。  何だろう、僕はそう思ってその物体に近づいた。独りでに動きやしないだろうか、そうも思った。いきなり爆発したりしないだろうか、そうも思った。とにかく僕は顔を大きく後ろにのけぞらせながら、またもや摺足で、一歩、二歩と物体に近づいていった。  物体は、何の抵抗、あるいは何の反応も示さなかった。僕が物体に近づいても、僕が思っていたように独りでになんて動かなかったし、爆発もしなかった。  僕は少し安心した。そして、僕がしばらくそこにいても、物体は本当に何の反応も示さなかったので、僕はさらなる細かい観察を試みることにした。     
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