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西野は一時間目のチャイムが鳴って5分ほどたっていたが悠々と歩いていた。そこへ金髪で制服を崩せるだけ崩して着た男が走ってきた。西野はすぐにクラスメイトの沢村だと気づいた。
「チャラチャラしてんじゃねえよ」西野が沢村に追い抜かされるときに言った。
沢村はむっとした顔で言い返した。「チャイムなっても歩いている奴に言われたくねえよ」
「チャイムは鳴ってしまったんだから走っても仕方ないだろ」西野は諭すように言った。
「誠意を見せろよ」沢村がまじめな顔で言ったので西野はふき出してしまった。
「それが誠意を見せようとしてるやつの恰好か」西野はカッターシャツのボタンを上から4つも開けている襟元を指して言った。
「うるせえ!一つ閉め忘れたんだよ」
「全部閉めろ馬鹿。大体お前ダサいんだよ。この前なんかボタンは2つしか空いてなかったが、ズボンのチャックが全開だったじゃないか。」
「ファ、ファッションだよ」沢村は顔を赤らめて言った。
「そんなのがファッションなら俺は人間やめるよ」西野は鼻で笑って言った。「大体お前本当にチャラ男なのかよ。まじめだしダサいしチャラ男の要素全滅してるぜ」
「チャラ男に決まってんだろ。この髪型を見ろ」沢村はとぐろを巻いた奇妙な頭を指して言った。
「うんこみたいだな」西野は臭そうな顔をして言った。
「うるさい!これを作るのに1時間かかったんだぞ。」
「世界一無駄な1時間だよ」西野は真剣な面持ちで言った。「俺ならその形のうんこ出すのに5分もかからねえ」
「うんこから離れろ!」
「爆弾みたいに言うんじゃねえよ、人間はうんこからは離れられねえ。」西野は穏やかに言った。
「なに悟ってんだよ!もういい勝手に悟ってろ!俺は先に行くからな!」沢村はぷりぷりしていった。
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