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「そうだな、翔大が話したら一気に広まりそうで怖いな。俺も気を付けよう」
「そんなぁ……そこまでおしゃべりじゃないですよ、俺」
あからさまに落ち込んだ様子の翔太が少し可哀想になり、ヒレカツを一切れ皿へ乗せるとすぐその顔は笑顔に変わった。
「先輩のそういう優しい所もモテる秘訣ですね」
「櫻木、もし俺が知ってる人なら仲取り持つぞ?」
きた。荏原先輩はそういうのが好きな人だ。
「大丈夫です」
「自分で頑張るってか? お前カッコ良すぎだろ。男の俺から見ても完璧で、コンプレックスとかあるのか?」
「そりゃあ人間ですからありますけど」
「え? 例えばどんなことですか?」
再びキラキラした瞳を向けてきた翔大に、俺は秘密だと一言だけ言った。
「そういえば明日から新人が入ってくるな。櫻木が教育担当になりそうだから、よろしく頼むな」
「はい」
明日から中途採用者が数人会社へと入ってくる。うちの部署には一人、二十五歳ということだけ耳にした。出来れば翔太みたいに、素直で仕事に真面目な奴がいい。
教育係も楽じゃないからな。男がいい、女はいろいろとめんどくさい。同じ部署でめんどくさいことだけは避けたい。
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