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「これまで話したことないヤツまでが群がってきて、あれこれ聞いてきて面倒だった」
「……」
それはそうだろう。
この変貌ぶりには皆が食いついたに違いない。
「藤沢君、これ借りたいんだけどいいかな?」
可愛らしい声に目を遣ると、いつの間にか図書室が大盛況。カウンターの前には列ができていた。
「嘘……」
私があんぐり口を開けていると、藤沢先輩が手際よく貸出処理を始める。
「平井、二列に並ぶように言って」
「あ、はい」
私は二列に並ぶよう、許される程度の声でアナウンスしたが、何ともバランスの悪い列になってしまった。
藤沢先輩の列には女子だらけ、そして私の列には図書室の常連さん数人。
「……」
なるほど、そういうことですか。
瞬時に状況を悟った私はやれやれと思う反面、皆のあまりにもわかりやすい反応に思わず笑ってしまったのだった。
もちろん、藤沢先輩にバレないよう、こっそりとだったけれど。
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