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◆◆◆
さっきから、女の子たちがチラチラと図書室を覗いては去っていく。
藤沢先輩のことを聞いてくる人もたくさんいて、思わず先輩の席に
『急用のため、休み』
みたいな張り紙でもしておこうかと思ったくらいだ。
「それにしても、皆あからさまだねぇ」
予告どおり図書室に顔を出していた真由ちゃんが、カウンターに肘をついて笑う。
「そうだね」と私も小さく笑った。
「でも、真由ちゃんもそのうちの一人じゃん」
「まぁそうなんだけど。でも、実はここへ来る前にこっそり見てきたけどね」
悪戯っぽくウインクする真由ちゃんに、私は口をパクパクさせるばかり。
なんてちゃっかりしてるんだ、真由ちゃん!
「確かにあれは女子が群がるわ。それにさ、先生の用事の前だと思うんだけど、女の子に呼び出されてたよ」
「え……」
「で、私もこっそり後をつけたんだけど」
つけたのっ!?
どうりでここへ来るのが遅かったわけだ……。
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