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それを知る前からすでに藤沢先輩の不器用な優しさに触れていたので怖いとは思っていなかったけれど、このことを知ってからは、先輩に対して怖いという感情そのものがなくなってしまった。
代わりに生まれたのは親近感……もっと言ってしまえば──恋心。
「そうなんだけどさ……。藤沢先輩、本を読んでる時は眉間の皺もなくなって普通の顔になるんだよ。そんでその顔がさ、なかなかのイケメンで」
「そうなんだ!?」
真由ちゃんの目がキランッと輝く。
彼氏持ちなのに、やっぱり反応しちゃうんだね。
まぁそれも致し方ない。皆イケメンには弱いんだよ、うん。
「それに気付いた一部の女子たちが集まるようにはなってたんだ」
「うん、それは前に言ってたよね。でも今はその時とは比べ物にならないんでしょ? だって噂になるくらいだもん」
真由ちゃんの言うとおりだった。
木曜日の図書室は、今や一種のイベント会場と化している気がする。
「それはですね……実は、私のせいなんだわ」
「えっ!? まどかが? なんで?」
目を丸くする真由ちゃんに、私は苦笑しながら再び説明を始めた。
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