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「私、割と楽観的で明るいってよく言われるんですけど」
「わかる」
「でも眼鏡をかけてると、真面目でお堅いってよく誤解されてたんですよね……。最初すごく近寄りがたいみたいで、クラス替えの度に自分から頑張って声かけていかなきゃいけなくて。それが面倒だなって思っていたので、高校進学を機にコンタクトに変えたんです」
近寄りがたいと思われるのは眼鏡だけではなくて、たぶん私の本好きにも起因する。
いかにも真面目ですという風貌で、おまけに本なんて読んでいたら益々近寄りがたくなってしまう。
それでも本はどうしても止められなかった。
だから、最初に遠巻きにされた分、よけいにクラスに馴染む努力が必要だったのだ。
「ふーん……」
藤沢先輩は少し考え込む。
私がしばらくその様子を眺めていると、先輩は顔を上げて言った。
「わかった。行ってくる」
「マジですか!?」
「なんで驚いてるんだよ」
「いやまぁそうなんですけど! でも、これで眉間の皺ともさよならですね!」
自分の言うことを藤沢先輩が聞いてくれたことに、大きな高揚感を覚える。
テンション高く喜んでいる私を見て「変なヤツ」と呟き、先輩は笑った。
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