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一年ぶりの逢瀬。生の彼女が見たくて私は必死だった。
『うーん、本当言うとね、今、仕事がすごく忙しいの。うちの会社のブログ、見てくれてる?』
『もちろん! いつもステキだね、キミの作品』
彼女が織る作品はクラシカルなデザインながらも個性的な色使いで、最近、爆発的に売れている。
『イン〇タばえするらしいし、この前はツイでバズったのよね。だから注文が殺到してて』
『ばえ……つい? バズ……?』
まただ。最近、彼女の発する言葉がわからないことが増えてきた。
『タブレットあるでしょ。たまには自分で検索してよ。とにかく、天気も悪いし、今年はナシ、ね。その代わり、夜はスカイ○しましょ』
肩を落とした私は『了解』のスタンプを返した。
便利になった現代、私と彼女の仲を裂くのは天の川ではなく、インターネットという無限に広がる海なのだ。
来年の願い事がきまった。
『この世からインターネットがなくなりますように』
彼女とフェイ○ブックで繋がっている農家の娘に、短冊を握りつぶされるかもしれないが。
(終)
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