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「ああ、おれだよ。地球人名、豊臣秀吉の宇宙人、ガニガニ・9・ボーテだ」
自分で自分のことを「宇宙人」と言うなよ。
地球人に赴任してきた当初から、その姿はずっと30代のおっさんであった。いつの間に女になってしまったのか、
「しっかし全然、気がつかなかったな……」
呆然として言った。声は高く、ソプラノ。
「先輩は、そういう趣味だったんですね……」
一方、やや軽蔑した含みのある声音で、ルケルケ・7・トーはつぶやく。
「いや、だから気がつかなかったと言っているだろ。なんでこんな姿に変わってしまっているのか、わけがわからん」
ガニガニ・9・ボーテは正直に言ったのだが、言えば言うほど言い訳じみて聞こえた。リビングにどっかとあぐらを組んでしきりと首をひねる姿が、なんとなくわざとらしく映る。
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