0人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
まして今日は、本人たちですら、わずかな違和感しか持たずに、結局気が付いていないんだから、この一卵性双生児の姉妹が、人格だけ入れ替わっているなんて、誰にも分かるはずないのだった。
で、三日過ぎた。
虫歯が突然出現した/消えた。
顔のほくろが、お互いの見慣れた位置のものがそれぞれ自分にある。
終わったばかりの生理がまた来た/遅れたことないのにまだ来ない。
妙な疑惑に悩む就寝前。
あの時はたまたま同じパジャマを着ていたけれど、それぞれ別の服を着ている今日は、お互いの姿に違和感を感じてしょうがない。
どちらともなくふたりして部屋の真ん中で向かい合わせに座り込んだ。
この違和感をどうやって亜音に/都愛に、伝えようか…。
家族も友だちもなーんにぜんっぜん気づいてくれないけれど、もしかしてあたしひとりの変な妄想かなんかじゃないか。こんなこと口にしたら、こいつにまでやばい奴と思われるんじゃないか…。
そのとき!
ぴきーん、とふたりの頭の中に、何かがひらめいた。
「え、うそ、まじ」
「やば、がちで」
「え、都愛も?」
「やっぱ亜音も?」
「あたしたち」
「あたしたち」
「入れ替わってる…」
「入れ替わってる…」
「宇宙の意志の声が聞こえた」
「唯一絶対神のお告げがきた」
もう、お互いの目を見合わせるだけで、あとは良かった。すべてが即座に理解できてしまった。
「どうしよう…」
「うん。困ったことに」
最初のコメントを投稿しよう!