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ずきずきと頭が痛む。
だけど、そんなことに構っている暇はない。
橘が居るのはどこだ?
映像で見えたのは薄暗い階段。
錆びた手摺りと塗装の剥がれかかった壁。
2階のパソコン室の近く?
いや違う、あそこは割りと人通りが多い。
図書室の隣か?
ここも違う。窓が多いから天気は悪くても多少は明るいはずだ。
3階、理科室も違う。音楽室付近は吹奏楽部が活動中だし、社会科準備室前は蛍光灯を変えたばかりで1箇所だけ色が違う。
階段のある場所をピックアップしながら必死に考える。
人通りが無くて、暗い場所。
もう一度さっきの映像を反芻させる。
違う、ここも違う。
早く探し出さないと……!
ほとんどパニックで、上手く頭が回らない。落ち着きたいのに、落ち着いてなんかいられない。
思い出せ、とこめかみ辺りを押さえた。
さっきの映像に窓は?
あったはず。けど光が入ってこない場所。
壁の掲示物は?
色褪せたポスターが数枚。たぶん結構前のもの。
ということは、普段人が立ち入らない場所だろうか。
不鮮明な記憶と、映像のピースを繋ぎ合わせた。
もしかして、旧校舎?
ハッとひとつの答えに辿り着く。
なんでそんな所に?あそこは2ヵ月後に建て壊される予定で、生徒は立入禁止のはずだ。
どくんどくんと心臓が脈打つ。
冷や汗が頬を伝って気分が悪い。
ここから旧校舎まで10分。そんなんじゃ間に合わない。
だけど全力で走れば、もしかしたら。
そこに橘がいるという確証すら無いけど、考えるより先に身体が動く。
頼む、どうか。
どうか彼女を助けられますように。
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