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喧騒の中、あの人はいつも淑やかに微笑んでいる。僕はいつか彼女を手に入れたい。
君と僕の間には透明の壁があり、それは出会いを潔しとしない。この壁は君の意思でできたものではないのだろう。君は僕の存在を認知しているはずだ。その小麦色の肌に触らせてくれないか。その煌めくエメラルド色の瞳を見つめさせてはくれないか。
君は僕の方を見てくれないけれど、僕は片時も目を離したくないんだよ。この喧騒の中にいるときだけは、僕の気持ちは君にしか向いていない。
やっぱり、ほしい。今持っている財の全てを賭ける覚悟はできている。さあ、出てきておくれ。
君の体を腕で掴む。君は体を委ねてくれた。そのまま入り口まで連れていく。今日はやけに素直だね。僕は笑みを浮かべながら、彼女を――落とした。
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