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そう。
私は頼んでないのだ。
この目の前にいる男、佐藤悠人が幼なじみだからって高校生になってから、勝手に家に上がり込んでは勝手に私を起こして、ご飯を作るのだ。
まぁ子供の頃から、勝手に家に迎えに来ては学校を一緒に行っていたのだけれども。
一時はからかわれたなぁ。
夫婦だの、恋人だの。
「ばっか!俺は、千景の両親から千景のこと頼まれてんだよ。合鍵ももらってるし。お前ほっといたら学校行かねぇだろ。」
「……はぁ。余計なことを。」
今、親は海外で幼い弟と一緒に暮らしている。
まぁ、父さんの仕事の関係で、だ。
もちろんそれは、高校受験の頃から話あったので親は私も連れて行く予定だったらしい。
でも、私は拒否した。
特に行きたい高校とかなかったが、急に海外と言われてもピンとこなかったのだ。
まぁ、理由はそれだけではないのだけれども。
「「ごちそうさま。」」
携帯をチラリと見ると、AM7:30になっていた。
あ、これそろそろ出ないと。
ユウも同じ事を思っていたらしく、急いで2人で歯磨きをして家を出た。
「あら、おはよう、佐藤くん瑞木さん。今日から学校?」
「おはようございます!その通りです。」
近所のおばちゃんとばったり会い、私の代わりにユウが答える。
「気をつけていってらっしゃい。」
「………ふぁい。」
「欠伸しながらいうなよ。」
「うるさい。」
ほら、近所のおばちゃんもクスクスわらってんじゃん。
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