5.初デート

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「よし、これで終わる。気ぃつけて帰れよ。」 赤鬼先生の帰りのHRは短いから助かると思ったのは初めてかもしれない。 今までは短くても長くても寝てたから関係なかった。 でも今の私は寝るなんてことしなくなった。 だって寝過ごしたら、天音と会える時間が減るから。 毎日会えるわけじゃないから少しの時間も大事にしたいのだ。 自分で言うのは恥ずかしいけど、今の私は少し毎日がワクワクしてる。 少し前に天音と付き合い初めてから、退屈だとは少し思わなくなった。 「お!今日も起きてたな!最近いい調子じゃないか、瑞木。」 そのせいか、皆の前でこう言われる始末だ。 「先生、もう帰っても?」 「おう。みんなも解散だ。」 赤鬼先生が言うと皆、教室から出ていく。 部活やってる人がほとんどだから、これから部活なんだろ。 「千景ー。この後暇?今日バイトないんでしょ?」 「バイトないけど暇じゃない。」 最近こんな会話も増えてきた。 杏にはちょっと申し訳ないけど。 「えー。買い物行こうよ。」 「先約あるから今度ね。」 「千景に先約とか…友達他にいないのに。」 失礼だな!おい! 私にも友達くらい…………いないわ。 学校の中だと杏と大ちゃん、ユウくらいしか話しかけてこないし…。 「分かったってば。少しだけね。」 これ以上言うと怪しまれそうだし。 メッセージ送っとけばいいでしょ。 会えるといっても今日は天音の家に行ってのんびりするだけだし。 「その代わり洋菓子見に行くよ。」 「うぃー!」 お詫びというか、たまにはお菓子買っていってもいいかなと思ったからね。
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