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 スマートウォッチのアラーム音で高倉信二は目を覚ます。 大きく伸びをしながらベッドサイドのコントロールパネルに手を伸ばし、ブラインドの開閉スイッチを押す。低いモーター音を立てながらブラインドが開くと、穏やかな朝日が差し込んできた。  時計の針は午前7時。隣には妻のリサが穏やかな寝息を立てている――いくら朝食を作る必要がないといっても、子どもたちの学校の時間があるのだからそろそろ起きてもらわないとならない。  高倉は少しの間リサの寝顔を眺めた後、小さく「リサ、起きろよ。」と声をかけて彼女を起こす。血色の良い瞼がピクリと動いただけで、一向に目を覚ます気配がない。 「仕方ないな。」  高倉は短くため息をつくとベッドから降りて服を着替え、ダイニングに向かう。壁に備え付けられたドリンクマシーンで「コーヒー」のボタンを押すと、紙コップが落ちる乾いた音がして、コーヒー豆を挽く音と、挽きたての豆の香りが漂った。  ドリンクマシーンの隣にあるミールキャビネットを開けると、家族4人分の朝食が入っている。高倉、リサ、2人の息子、レオとタイガ、一人一人の年齢、身長、体重に合わせたメニューが入った、調理機能付きのミールボックスだ。  ミールボックスについたボタンを押すと、自動調理が始まる。どういう仕組みなのか高倉には理解できないが、ボタンを押してわずか5分でできたての料理を食べることができるこのボックスは、温かいシチューと良く冷えたシャーベットを同時に作ることができる。味は少し薄めだが、なかなか美味い。
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