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ニュースをチェックするためにテレビをつけたとき、コーヒーができたことを知らせるメロディが流れた。
「ぱぱ、おはよ。」
「パパ、おはよう。」
コーヒーに口をつけようとしたとき、少年特有の高い声が二つ、高倉に朝の挨拶をした。小学校の制服に着替えた長男レオと、まだパジャマ姿のタイガだ。
「おはよう。」
「ママは?」
「まだ寝てるよ。」
「もう、だらしないなぁ。タイガ、ママ起こして来いよ。」
小学校2年生のレオが妙に大人っぽい口ぶりで言うと、指名されたタイガは目を輝かせて「あい!」と大きな声で返事してから、リサが眠る寝室へ向かって行った。
「パパ、俺、今日サッカークラブだからちょっと遅くなるよ。」
「ん、そうか。しっかり体を動かしておけよ。」
「わかってるって。」
レオはリサ、タイガ、自分の分のミールボックスとテーブルに並べ、調理開始ボタンを押す。自分が食べる分だけを用意した高倉は少しバツが悪くなる。レオは気が利くので、学校でも女子から人気があるらしい。
高倉の食事が出来上がった。焼き魚、ほうれんそうのお浸し、納豆、卵焼き、みそ汁、栄養強化米――ごく普通の内容だ。
高倉が食べ始めると、リサを連れたタイガが戻ってきた。リサはまだ眠たげな表情だったが、レオを見送った後タイガを幼稚園まで連れていかなくてはならないため、眠ってもいられない。
高倉家の朝はいつもこうだ。高倉が最初に起き、レオ、タイガが起きて、最後にリサが起きる。
各々異なる内容の朝食を食べた後レオが学校へ出発し、リサが着替えや化粧を終えた後、高倉とリサは散歩を兼ねてタイガを幼稚園まで送る。平凡だが幸せな一日の始まりだ。
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