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「ねぇ、信二ってば。聞いてる?」
「あ、ごめん。ちょっとぼーっとしてた。」
「着信。さっきからずっと鳴ってるよ。」
「あ、ほんとだ。」
スマートウォッチの通信ボタンを押すと、ホログラム映像が飛び出し通話が始まる。同僚の石井だった。
『よう、相変らず元気そうだな。』
「石井。どうしたんだ?」
『お、リサさんも一緒か。なら話は早いな。高倉、今晩一杯飲みに行かないか?』
「おいおい、もうすぐ適性検査だぞ?大丈夫なのか?」
『もうすぐったって、週明けじゃないか。青木さんの奥さん、もうすぐ出産だろ?恭子も最近具合がいいし、出産の前祝をさ。』
恭子というのは石井の妻の名前だ。生まれつき心臓が弱く、50までは生きられないといわれており、石井は、妻に豊かな余生を過ごさせるために別の部署からエネルギー供給課に転属してきた。
高倉はリサの顔をチラリと見た。リサは「明日、遊園地」と短く言う。
「OK。行くよ。」
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