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 今日は七夕というのにあいにくの雨。  空からは「涙雨」という言葉のように、ぽつぽつ、しとしとと雨が降り注ぐ。  全国的に雨が酷くて、満足に星の見えるところのほうが少ないくらいだ。  僕はいつぞや空へ帰っていった星屑のことを思い出す。  星屑の居場所なんて、そう多くは無いのだろうけれど、天の川の砂子にでも今はなっているのだろうか。――ふと浮かんだ疑問に、僕は口元を緩める。  金、銀、砂子。  砂と言っても星の砂に違いない。小さな燐の灯が灯る、そんな星屑の砂。  と、耳元で聞き覚えのある声がした。  ――おやおや少年、私のことを考えていてくれたのかね。  星屑が帚星と一緒にやってきて、そう笑ってみせる。  雨の中で佇む星たちは、そぼ濡れても淡く発光しているようで、ほんのり目に眩しかった。  ――いや、天の川という場所について物思いに耽っていたんだがね。  なんだか悔しくてそう返すと、星屑はケタケタと笑った。  ――天の川は私たちのテリトリだからね、それに天の川の水は月の涙で出来ているのだよ。  そう、帚星が自慢げに説明する。  月の涙の水があの星々を美しく洗い上げているのだと、彼らはこぞって自慢した。  ――それなら、夜に降る雨は、月の涙なのかい。  尋ねてみれば帚星はいかにもと頷いて、けろりとしている。  だから雨夜の翌日は、たいてい星が綺麗に瞬くのだという。  ――織姫と彦星も、明日に延期しているさ、きっとね。  そう言われたら、何となくそんな気がしてしまった。  ――翌日の澄んだ星空を思いながら、僕は眠りにつくのだった。
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