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「私…死んでいるの?」
その時未知は自分の意思で身体が動かないことに初めて気づいた。
ほんの数時間前まで体中を走っていた痛み。
でも今はそんな辛さを一ミリも感じない。
「そっか…神様が助けてくれたんだ…」
鉛のように冷たく重かったはずの身体が羽のように軽く暖かくなる。
安らかな眠りに落ちていくなかで、意識だけがすっと抜け出した。
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上から見下ろされる未知の身体には、数えきれないほどの傷と痣が見取られ、
場所によっては人間の原型すらとどめていない。
『ごめんね、守ってあげられなくて。次は絶対うまくやるから。』
涙に濡れた手で、その傷だらけになってしまった身体に触れると、そこから肉は土に還るための腐敗を始めた。
『今回は5年か…次は何年?長くなくてもいいから、痛いのだけは嫌だな…』
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