僕とお姉さん

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「騙すつもりも、怖がらせるつもりもなかったの」 お姉さんは立ち上がると眩い光に包まれる。あまりの眩しさに一瞬目を閉じ、次に目を開けるとお姉さんは全身真っ白な巫女装束になっていた。 「私はこの山の神。元々は力の弱い山の神だった。ここに村ができ始め、村人の信仰心から徐々に力を付けていったの」 お姉さん、もとい女神が続ける。 「私は望んでいなかったけれど、ある時村人が生贄を捧げようとしたの。私はそれを拒む為に人の口を借りようと、ある巫女に力を与えたの。その巫女がこの姿の元になっています。 あなたはこの巫女の末裔。そして一番山を大切にしてくれた一族。恩返しをしたいのです」 「なら、僕は幸せな生活をおくりたい」 恐怖心が無くなった僕は、すぐさま答えた。 「……私と夫婦になれば、加護によってあなたは一生困ることはないでしょう。ですが、人間の女性とは縁は無くなります。……結婚することが出来なくなります」
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