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休憩スペースのテーブルで伊緒さんにフルーツ牛乳をすすめながら、ぼくは本格的に聞き取りを行う構えを整えた。
札幌育ちの伊緒さんと、和歌山育ちのぼく。
はたしてその学校給食のギャップとは。
「じゃあ、"ミルメーク"は出ましたか」
「??ミルメーク?」
伊緒さんがきょとん、として聞き返す。
ぼくはひそかに彼女の「きょとん」とした顔が好きで、できるだけ多くのきょとんとする機会があればいいと願っている。
が、これは内緒だ。
"ミルメーク"とは牛乳にまぜるための調味液のことで、お弁当用のしょうゆ差しを大きくしたような容器に入っていた。
ぼくの学校ではコーヒー牛乳味といちごミルク味の二種類だけだったけど、もっといろんな味があるらしい。
「えーっ!なにそれ、いいなあ!」
どうやら伊緒さんはお目にかかったことはないようだ。
元来、牛乳が苦手な子でもおいしく飲めるようにと工夫されたものらしいから、酪農王国の北海道では必要なかったのだろうか。
謎だ。
ちなみに後で調べたところによると、関西地方でもミルメークを導入している学校は多くないそうで、ぼくのところがレアだったみたいだ。
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