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でも、ぼくは給食で揚げパンが出たという記憶がほとんどない。
たしか"揚げパン"という名前のメニューは何度か出たはずなのだけど、伊緒さんがおっしゃるような感じのものではなかったのだった。
したがって、いまでもぼくにとっては憧れの食べ物のひとつではある。
「そうそう、それにお赤飯もうれしかったわ!なんだか特別な日に出してくれるのよね」
へえぇ、給食にお赤飯!それは素敵だ。
でもなにやら、お赤飯の内容がぼくの知っているものと噛み合わないような気がする。
「あまくって、大粒の金時豆がちょっと溶けかけた感じがおいしかったなあ」
伊緒さんがうっとり目を細め、今度はぼくがきょとんと首をかしげる。
金時豆、ですか……?
小豆ではなくって??
あらためて聞いてみると、なんと彼女のふるさとのお赤飯は、小豆の代わりに"甘納豆"を使った甘い味のものなのだという。
久しぶりの食文化ギャップへのおどろきだ。
これは始まりがはっきりしていて、札幌の学校法人の女性園長さんが、手間をかけずに子どもが喜ぶようなお赤飯を工夫したことに由来しているそうだ。
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